KOTOMO基金

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    KOTOMO基金サポーターのご紹介 Vol.2楽天グループ株式会社様

    KOTOMO基金をご支援いただいている企業の皆様をご紹介する本シリーズ、第2回は楽天グループ株式会社です。
    同社からはボランティアとして社員のみなさまが基金の取り組みに参加してくださいました!

    活動期間は2021年6月~8月。KOTOMO基金の配分を受けて活動する各NPO等の団体が支援の参考とできるよう、「困難を抱える親子・子どもを対象とした公的制度の情報」を集め、一覧として整理する活動へ4名の皆様が参加されました。

    本日は活動を終えた皆様にお集まりいただき、「オンライン座談会」の形でお話をうかがって参ります!

    (対談日:2021年9月6日 お話の内容は対談当時の情報に基づきます。)

    ご参加いただいた皆様 
    ・橋本 尚武さん(楽天モバイル 品質管理部 クオリティアシュアランス担当)
    ・中原 瑞彩さん(楽天市場 広告部 広告販促担当)
    ・川嶋 令美さん(楽天市場 物流事業)
    ・花田 恭子さん(サステナビリティ部 Rakuten Social Accelerator 事務局)

    (聞き手:KOTOMO基金事務局、岡山NPOセンターインターン 諏訪隆也、美藤夏海)


    はじめに、今回社員のみなさまがボランティアへ参加されたきっかけとなる「Rakuten Social Accelerator (以下:RSA)」の取り組みについて教えてください。

    花田さん:RSAは2018年に開始した取り組みで、NPOや社会起業家、自治体など多様なパートナーの皆様と楽天の従業員が協働して、社会課題の解決を目指すというプログラムです。2020年度からは新型コロナウイルスの影響もあり、オンライン上での実施となっていますが、引き続き地域を問わず取り組みを進めています。「会社に言われたから参加する」という制度ではなく、”やりたい”と思った社員が気になるボランティア先の活動へ自発的に参加できるものとなっています。

    では、社員のみなさまが「KOTOMO基金のボランティアへ参加してみよう」と思われたきっかけや理由はなんですか?

    川嶋さん:会社からRSAの参加者を募集しているというメールが届き、存在はそこで知りました。KOTOMO基金の活動のテーマは「困りごとを抱える親子・子どもの支援情報を集めて、わかりやすく整理する」と書かれていて、関心を持ちました。私も子どもと二人で暮らしているので、「自分と子どもとの関係性に近いな」と感じたことがきっかけです。「データを集める」という作業も好きなので楽しそうだなと思いました。

    中原さん:動機は3つあります。1つめに、楽天へ転職する前はフリーランスとして働いていたのですが、会社に頼れないという意味で分不安定な部分があり、1人では心細く、支援制度を知りたいと感じることがありました。そのときいろいろな制度を探しましたが、行政のウェブサイトや文章はわかりにくいなと感じていました。今回の活動が設定している課題と近いですね。2つめに、データベース作りに興味があったこと。また3つめは、父方の母が岡山出身と岡山に縁があったことです。

    橋本さん:私には3人の子どもがいますが、子育ての過程で行政への申請手続きなどは非常に煩雑だと感じていました。「困りごとの内容から逆引きで情報が検索できればいいのに」と感じていたこともあり、今回の活動テーマとまさに合致していました。また楽天での仕事のほかに、子どもたちへインターネットの安全な利用について伝える「e-ネットキャラバン」の認定講師として活動をしています。地道に変えていく、コツコツ積み上げていくボランティア活動は重要だと感じているところからも、今回参加をしてみようと思いました。

    毎週月曜・水曜日(活動の終盤は加えて金曜日も)の終業後にオンライン上に集まっていただき、岡山県内27市町村のウェブサイトを見ながら、支援制度の情報を検索し一覧表にまとめていく…という時間的にも内容的にも決してご負担の少なくない活動でしたが、最後までご参加いただき本当にありがとうございました。

    実際に活動してみておもしろかったことや、大変だったことはありますか?

    花田さん:面白かったことは、自分に子どもがいない場合はなかなか触れることのない育児や子育てに関する制度を知れたこと、また様々な自治体のウェブサイトを比較できたことです。例えば「結婚」「入学」などライフステージごとに支援制度を整理してあるなど、自治体によって情報の見せ方が異なっていることがすごく面白いと感じました。ただ自治体により情報の掲載方法が異なるため、探している制度がどこに載っているかを探すのはとても大変でした。「あっちの自治体にはあったのに、こっちの自治体では見つからない!」ということもよくありました。

    川嶋さん:同じく、制度情報を探すのは大変でした。似たような支援制度でも自治体によって独自の名称がつけられていることがあり、判断が難しかったです。実際に困りごとを抱えている親が自分の状況に合った制度を見つけるのは大変だと感じました。楽しかったことは、「こういう単語で検索すれば見つけやすい」など、やり方に気がつけたところです。興味が出てきたので、今住んでいる大阪の自治体についても同様に調べてみています。


    橋本さん:岡山は奥が深いと改めて感じました。出張などで訪れることはよくありましたが、県内の知らない部分を知れたことは楽しかったです。また行政によって異なるウェブサイトのつくり方もおもしろかったです。担当部署の集約性など、見せ方が様々だと感じました。県全体として少子化の影響を受けているのか、子育てよりも「人口増加」や「移住」などの政策に力を入れている自治体が多いのかな、という印象も受けました。


    中原さん:同じ制度の名称で検索をしても結果がバラバラで、自治体ごとに色が違うのが面白かったです。花田さんと同じく、これは将来子育てをするときに使える制度だな、などと知れたこともよかったです。作業そのものは地道で大変でした。自治体が違えばページ構成が違うので、検索ワードを変えるなど工夫する必要性がありました。デジタル化が進んでいない、日本の縮図を感じたような気がします。

    重ね重ね、大変な活動へお付き合いいただきありがとうございました。

    ・入力し終わった自治体:岡山県内20市町村/27市町村

    ・調べた窓口情報の数:約1,274個

    という結果につながりましたこと、心より感謝を申し上げます。


    ~さてここからは、岡山NPOセンターへインターンに来ている学生2名から、みなさまへご質問をさせていただきます。

    インターンの諏訪です。よろしくお願いします。

    早速ですが、仕事終わりにこういった活動を手伝おうと思われたきっかけは何ですか?

    中原さん:入社してから1年ほど経ち仕事に慣れてきた時期で、なにか新たなことに挑戦したいと思っていました。そのタイミングでちょうどこの活動を知ったため、参加しました。

    橋本さん:会社に来て仕事をするというだけではなく、仕事とボランティアを両立して行うことが当たり前になればいいなと以前から考えていました。その風潮を楽天の社内に定着させたいなという思いもあり参加しました。

    川嶋さん:新型コロナウイルスの影響で、出社をせずリモートでの業務が中心となりました。社内の人ともなかなか関わりが持てない状況下で、新たなアイデアが入ってくることもなく、空気を換える必要があるなと感じていました。仕事だけでなく新たなことに取り組むことで視野を広げようと思い参加しました。

    ありがとうございます。次の質問ですが、活動に参加して得られたものはありますか?

    川嶋さん:仕事だけでは顔を合わせる機会がない人と活動する機会が得られたことはよかったです。岡山NPOセンターやKOTOMO基金の活動を知ったことで、「こんなことができそう」という新たな発想も生まれました。

    花田さん:困っている人の存在や、岡山という土地を身近に感じられました。制度情報を求めている人の気持ちに寄り添って活動したことで、より当事者に近い視点で物事をみることができるようになったと思います。

    中原さん:どのような情報が求められているのか、そのニーズがどういった理由で存在するのかがわかったことで、視野が広がりました。またNPOはこういう仕事をしているんだな、ということも知ることができました。

    橋本さん:今までは気づかなかった課題に触れ、興味関心の幅が広がりました。楽天の社員としての強みを生かしながら、よいコラボレーションができたのではないかなと思っています。


    インターン生の美藤です。よろしくお願いします。親子向けの支援制度を調べる中で、「こういう制度があったらいいのに」と思うものはありましたか?

    橋本さん:自治体によっては進学や学費に対する支援制度の対象が小学・中学までとされていて、高校以降は支援制度がないという場合がありました。高校生という時期は子どもの育ちにおいてとても重要で、そこで十分な教育が受けられるようなサポートがあるかどうかでものすごく人生が変わると思います。低学年など小さな子どもや公立学校への進学支援はもちろん大切ですが、高校生への支援や私立学校に進んだ子ども、また事情により私立へ進まざるを得なかったという子どもへの支援も必要だと思いました。

    中原さん:子どもへの支援ということではないですが、移住者を募集しているページを見かけたとき、その土地へすでに移住されている方々の暮らしぶりがウェブサイト上で紹介されていました。私が以前フリーランスだったときのこととも関連しますが、一時的なノマドワーカーだけでなく、「移住して働き、暮らしたい」と思っている方々への支援も提供できれば、需要があるのではないかと思いました。

    川嶋さん:「住民票は違う自治体にあるけれど、何らかの事情で現在岡山に住んでいる」という場合に、どこのサイトを見たらいいのか、どこを頼ればいいのかがわかるようになればいいなと思いました。何かの制度を利用するにしても、「住民票がそこにない」というだけで手続きがすごく煩雑になることが多いと思います。

    花田さん:今回の活動の発展形として、支援制度の見つけづらさなどを数値化して自治体へフィードバックする、そして自治体と一緒に改善するような、ポジティブな改善サイクルが回せる仕組みがあっても面白いのではないのかと思いました。

    ありがとうございます。とても参考になりました。

    次の質問ですが、楽天での仕事と、今回の活動とで共通していることはありますか?

    花田さん:「使う人が本当に困っていることや、本当のニーズは何か」といったことを考えて、それに対して解決策を考えていくというところが共通しているなと思いました。きっと楽天のほかの社員の方も、何か活かせる経験があるのではないかと感じています。

    川嶋さん:楽天市場に出店されている店舗さんの対応を担当していて、なにか困ったことがあったときに「どこへ問い合わせればいいか?」と質問を受けることがあります。どうすれば利用者が迷わず、快適に使えるようにしていくかというところは共通していると思いました。

    中原さん:私は「既存のものを整備する」といったところが共通していると思いました。例えば、今ある媒体・広告メニューの販売フローを整えたり、どこを見たらいいのかわかりづらい複雑な情報開示の方法を工夫したりして、使う人のことを考えた対応をすることが大事であると思いました。

    橋本さん:私は楽天のミッションでもある「エンパワーメント」が共通していると思いました。「エンパワーメント」は、楽天が日々の活動や事業を通して、社会に貢献していく上でのキーワードになっていて、グループの従業員一人ひとりが共有する根っことして存在していると思います。
    そういう意味では、岡山NPOセンターの活動とも共通しているかなと思っています。

    インターン生からの質問にも温かく答えて頂き、ありがとうございました。

    それでは最後に、今後の「使える制度がわかるシステム」や「KOTOMO基金」へのご期待をひとこと聞かせてください。

    川嶋さん:このシステムができることで、岡山のお父さん・お母さんの笑顔が増えていくのではないかと思います。ぜひ、大阪にも作ってほしいです。

    橋本さん:私も全国普及を願っています。行政は、優れた取り組みを横展開していきますので、ぜひ実現してください。

    中原さん:全国に普及して、今後もKOTOMO基金の活動や利用者の暮らしに役立っている、という声が聞ければ嬉しいです。

    花田さん:情報を探すことの大変さは、全国に共通している課題だと思います。岡山からぜひ全国へ展開してください。


    みなさま本当にありがとうございました。今後ともKOTOMO基金の取り組みを、どうぞよろしくお願い致します!

    編集後記:インターン生の感想

    諏訪さん

    お話の内容はもちろん、コロナ禍で私たち大学生も対面で誰かと交流する機会をなかなか持てていない中、楽天のみなさまも同様の悩みを抱えられていることに共感を覚えました。ありがとうございました。

    美藤さん

    普段は別の場所でお仕事をされているというみなさまにそれぞれの立場からお話を聞かせていただき、「社会に出るとそんなことがあるのか」ととても勉強になりました。ありがとうございました。